処方箋は3回使える?あまり知られていない「リフィル処方箋」を解説

TBS系で土曜22時から生放送されている「情報7daysニュースキャスター」を見ていたら、高額療養費制度の見直しをめぐるNEWSが取り上げられていました。
そして総合司会の安住さんから「リフィル処方箋」という聞きなれないものが紹介されました。
皆さんはこの「リフィル処方箋」って知っていますか?
私は初耳だったので、さっそく深堀り開始!
今回は「リフィル処方箋」がどんなものなのかを調べてみました。
リフィル処方箋の基礎知識
リフィル処方箋は、令和4年4月、国によって導入された新しい制度です。
3年も前に制度がスタートしているにも拘らず、あまり知られていないのが現状ではないでしょうか。
実際私も今回の情報番組で初めて知りました。
リフィル処方箋の対象者
誰でも無条件に出してもらえるものではありません。
長期に渡り同じ薬を服用していて、そのなかでも症状が安定している患者さんに限られます。
「通院をしばらく控えても大丈夫」と医師が判断した場合に限って出されるもので、この処方箋は医師や薬剤師の連携のもと一定期間に最大3回まで繰り返し使用できます。
つまり、医師からこの処方箋を出してもらえれば、2回目、3回目は受診しなくてもお薬だけを出してもらえることになります。
リフィル処方箋の留意事項
リフィル処方箋は対象となる患者さんが限定的であると同時に、対象となる「薬剤」も限定されています。
「投薬に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない」と定められていますので、どんな薬でもリフィル処方箋を出してもらえるわけではありません。
投薬量に限度が定められている医薬品とは、がんの痛み止めなどの麻薬、睡眠導入剤などの向精神薬のほか、新薬もこの部類に含まれます。
なお、処方箋の使用回数は3回が上限ではありますが、医師の判断で必要に応じて上限2回とされることもあるようです。
1回あたりの投薬日数についても医師の診断により「患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする。」と定められています。
処方箋の有効期限と薬を受け取れる期間
通常の処方箋と同様に、リフィル処方箋の場合も初回の薬の受け取りは、発行日を含めて4日間が有効期間です。
これを過ぎてしまった処方箋は無効になり、お薬を受け取ることができません。
そして2回目以降の受け取りについては「原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。」
なんだかややこしく聞こえますね。
法律で定められた文言は、どうしこうも面倒な言い回しになるのでしょうか。
たとえば初回の薬を3月1日に3週間分受け取ったとします。
その場合、次回の調剤予定日は3週間後の3月22日ということになり、この3月22日を挟んで前後7日間が受け取り可能日。
つまり、3月15日~29日ということになります。
リフィル処方箋使用中に体調の変化があったら
基本的に、このリフィル処方箋を出してもらえるのはすでに長期に渡ってその薬を服用していて、症状が比較的安定していることが前提条件なので、1回の処方で30日など長期のケースが多いのかも知れません。
しかしながら、医師の診断を受けずに薬だけ受け取っている間に体調が変化することもあると思います。
調剤薬局の薬剤師は、患者さんの服薬状況を聞き取りをして継続投薬が適切ではないと判断した場合には調剤をせず、患者さんに医療機関への受診を促し、処方した医師には情報を提供することされています。
リフィル処方箋を使用して医師の診断を受けることなく長期服用中のときでも、体調がおかしいと感じたらまずは薬剤師に相談してみると良いかもしれませんね。
リフィル処方箋のメリット・デメリット
リフィル処方箋を発行してもらうことで、薬を出してもらうためだけに受診するということが必要ないので、慢性的に同じ薬を服用して症状の安定している患者さんにとっては、随分負担がかるくなるのではないでしょうか。
医療機関も処方箋を出すだけのための受診が減れば、混雑緩和につながり、ゆとりのある診療が実現できそうです。
受診回数が減るということは受診の度に発生する再診料+処方料も必要なくなるので、患者さんとしては経済的に助かりますよね。
ただ、一方では医療機関側にとっては「患者さんが減る=収入減」という意識も少なからずあるようです。
この辺りは総合病院なのか地域のクリニックなのかとか、地域や立地など医療機関ごとに事情も異なるでしょうから、難しいですね。
それとは別に、医師の立場からすれば「体調の変化を定期的に見なければ」というのもうなずける話。
かつて知り合いの循環器系ドクターは「心臓の医者としては、患者さんが希望しても安易にジェネリックを出すことはできない」と話していました。
命に係わることなので、確かに、、、と頷きながら聞いたのを覚えています。
今回取り上げたリフィル処方箋にしても、ジェネリック医薬品にしても、医療従事者側と患者側、どちらの立場からもメリット・デメリットがあるのは当然のこと。
患者側も自分の体と向き合いながら自分の意志で取捨選択できるといいのですが、専門知識がない中ではやはり難しいのかな。
まとめ
たまたま情報番組で耳にしたことで知った「リフィル処方箋」について紹介しました。
3年前から始まっているにもかかわらず、本当にま~ったく知らなかったこの制度。
長期的に通院しているわけでも服薬しているわけでもないので、日常的に「今」自分に関りがないことってこんなにも情報に疎くなるんだな、と実感しました。
皆さんはご存知でしたか?「リフィル処方箋」。
この制度を利用する条件に当てはまりそうなら、医師に相談してみてはいかがでしょうか。